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「本山博著作集」第十一巻の読みどころ  宮司 本山一博

今月は第十一巻の読みどころをお送りします。。

『東洋医学 気の流れの測定・診断と治療』 

1970年代後半から1984年頃にかけての研究に基づいた論文を一冊にまとめたものです。 ここで宮司(現名誉宮司)は見えない世界の知識であると思われていた「気」の知識を何とか目に見える世界の知識、つまり形而下の知識にしようと苦労されています。それは形而下の知識とみなされるようになった気の知識をもって、さらに見えない世界である霊の世界を探るためです。 まず宮司(現名誉宮司)はAMIが肉体において何を測っているのかを示すために、そのデータを解析するための4つのパラメータ(BP、AP、IQ、TC)を立てられます。そのうえでBPが真皮内を流れる初期電流値であり、それが体液に満たされた結合式内を流れるものであることを明らかにされました。それは表皮にかけた電圧では真皮内に電流は流れないとするそれまでの生理学の知識を覆すものでした。 宮司(現名誉宮司)はBPが経絡の理論の定性的な性質を反映していることを突き止められます。それは各経絡の陰陽関係にかかわるものです。十二の経絡のうち、二つの経絡が陰陽関係にあり、それが六組ありますが、それらすべての組において通常は陰経のBP値が陽経のそれより値が大きいことを突き止め、BPが経絡の状態を直接反映するパラメータであると結論づけられました。そのうえで、BPが真皮内結合式を流れる電流であるとする先の結論と合わせて、経絡とは真皮内結合式における体液の流れのシステムではないかとされるのでした。 宮司(現名誉宮司)はここで気の流れを一方では見えない世界の領域のものとされながらも、他方では体液の流れとされ、気そのものの概念を見えない世界と見える世界の両方にまたがるものであるとされるのです。そうすることによって、気の研究は見えない世界の見えない身体器官であるチャクラやクンダリニー、プラーナを研究するための方法論の中に位置づけられていくのです。

『AMIによる神経と経絡の研究』

1980年代中ごろから後半にかけての研究をまとめたものです。 第三章が本書の心臓部です。第三章「井穴・背部喩穴・督脈点の間の相関と、これら三点経穴における針効果の相違」では、BP、AP、IQのそれぞれが経絡系、自律神経系、防衛機能系の動向を表すパラメータとして同定されたうえで、これら三つの身体システムが別個のものであり、かつ関連があることが示されています。 宮司(現名誉宮司)は人体(主に肉体)を経絡系という一つのシステムで見ることをなさらず、ここでは経絡系、自律神経系、防衛機能系という三つ別個のシステムが関連をもちつつ重なり合っている全体的システムとして見ていらっしゃるのです。 伝統的なチャクラシステムの説は超感覚的な能力と結びついて語られます。そこで宮司様はその伝統知識に信頼を置きながら、人体つまり身体を肉体だけではなく見えない霊体と見える肉体が重なったより包括的なものであるとみなされ、その身体モデルの蓋然性を電気生理学的なデータを統計処理することによって高められて、それを手がかりに超感覚的な能力のメカニズムを探っていこうとされるのです。この包括的な身体モデルとは、宮司様にとっては、自律神経系、防衛機能系、経絡系、チャクラ・プラーナ系という肉体上のサブシステム、肉体と霊体にまたがるサブシステム、霊体上のサブシステムが重層的に重なり合い関連し合う全体的システムのことです。 それがまた、宮司(現名誉宮司)の基本的な研究戦略である、見えない世界と見える世界の両方にまたがる現象を通して、見えない世界の知識を見える世界の知識を用いて透かしてみるということとつながるのです。ただし、両方の世界にまたがる現象は以前では主に超常現象でしたが、ここにきて身体というシステムそのものがそのような「現象」とみなされるようになってきました。そのことから、霊能者頼みであった研究からより普遍的な研究に至る道(宮司(現名誉宮司)がおっしゃる意味での人間科学) を拓く可能性が見えてきたのです。 また、身体を上のように見なす研究には宮司様の創造論、世界論を裏づけするための研究という意義もあるのです。