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「本山博著作集」第三巻の読みどころ    宮司 本山一博

今月は第三巻の読みどころをお送りします。

 「密教ヨーガ」「チャクラ・異次元への接点」

この両著はヨーガの現代における古典だと言えます。1970年代後半に、これほど詳細にハタヨーガ(クンダリニーヨーガも含む広義のもの)の技法を紹介し、またチャクラについて正面から取り組んだ書物が日本において出版されたことは驚くべきことです。もともと両方の著作は一冊の本としてまとめられる予定でしたが、『密教ヨーガ』が先行発売されました。
本書の特徴の一つを一言で言えば「形而下(形あるもの、この世で経験されるもの)への志向」です。霊的成長を説く本がなぜ形而下を志向していると言えるのでしょう。まず前提として宮司(現名誉宮司)が経絡-臓器機能測定器(AMI)を発明されたことがあります。宮司(現名誉宮司)は中国医学で説かれる気の通り道である経絡の存在をAMIの測定により科学的に証明されました。つまり経絡が形而下のものとして捉えられるようになったのです。例えば、瞑想中に両方の手の親指と人差し指で輪っかを作るムドラについて、その意義を宮司(現名誉宮司)は経絡理論に基づいて説明なさいます。それに対してインドの伝統的な解釈は神話的です。このような意味で本書は「形而下への志向」を示しているのです。本書全体を通じて宮司様はチャクラ、ナディやアーサナなどの身体技法を経絡理論に基づいて統一的に説明なさいます。
本書のもうひとつの特徴は「媒介者としてのチャクラ」です。チャクラが次元の異なる身体の相関やそれぞれの次元の心身の相関における媒介者であることが繰り返し述べられます。伝統的なハタヨーガにおいては、チャクラはあくまで微細身(霊体)の中心器官であり、媒介者としての性格はそれほど強調されないように思います。
チャクラ教説は、宮司(現名誉宮司)にとって神秘領域にあるものでありながら一方では科学的探究の対象となるものなのです。その点では経絡と同じです。経絡もその存在は解剖学的には不明であるゆえにある意味で神秘的なものでした。しかし、AMIの発明により科学的な探求の対象となりました。そして宮司(現名誉宮司)は経絡を手がかりにして、経絡よりさらに霊的領域の側にあるチャクラを解明しようとなさったのです。そしてチャクラの科学的研究という領域に踏み込んでいくための大きな手段になったのが、チャクラよりさらに物質的な次元のものに近い中国的気、経絡を科学的に測定するAMIなのです。AMIの発明の意義は実に大きいのです。
『密教ヨーガ』の主題は経絡の理論とAMIとチャクラマシーンの二つの機器の実験に基づいて、チャクラというものに可能な限り形而下的にアプローチし、チャクラにおける実験で検証可能な心身相関の働きを探り、それが宗教的行においてどのような役割を果たすのかを自らのチャクラ覚醒の体験に基づいて語ることなのです。
ご自身のチャクラの目覚めによるさまざまな超能力や精神的徳目、神との接触、悟りの体験などが述べられますが、そのほとんどは今の時点では科学的探究の対象にならないものです。しかし、自らの体験を語ることによって、宮司(現名誉宮司)は本書において単に形而下への志向を示されるだけではなく、ハタヨーガがまさに宗教的な行であることを説得力を持って示されます。
宮司(現名誉宮司)は魂があるということを人に知らせたい、そのために科学的にそれを証明できる学問分野を作りたいと若い頃から願われていました。そのなかで経絡理論に基づいてチャクラやナディを探求するという方向性を見出し、AMIの発明により実験方法も確立しました。しかしその発明の4年後、研究者として脂が乗り切る頃である48歳のときに妙光之神様が60歳代半ばで亡くなりました。そして玉光神社という教団の運営の全てを宗教面おいても経済面においても負うことになりました。そのとき私を入れて小さな子供が五人いました。宮司様は『密教ヨーガ』を執筆した52歳の頃、忙しさが増す一方の教団運営の中で、チャクラ、ナディ、クンダリニーからなる霊的生理学の科学的研究の道筋をつけ、研究を進ませられるところまで進ませたいという気持ちが強かったのではないか思います。